歯を構成するエナメル質や象牙質は、再生されない組織です。そのため削れば削るほど、歯の寿命も縮まるといえます。相武台ゆうデンタルクリニックでは、そんなかけがえのない歯質をできるだけ削らない歯科治療を心がけております。
ひと昔前までは、虫歯になった歯を大きく削る歯医者が多くを占めていました。現在は、当院のような「歯を削らない歯医者」が徐々に増えてきていますが、なぜそのような現象が起こっているのか不思議に思われる方も多いことでしょう。その理由は、大きく2つに分けられます。
医療技術の進歩は、医科だけでなく歯科の分野でも絶えず起こっています。例えば当院でも導入しているマイクロスコープは、歯科の分野において極めて大きな変化をもたらしました。これまでは肉眼で見える範囲で歯を削っていたため、ある意味、盲目的な処置に陥らざるを得ない場面も多々あったのです。その時に歯医者がとる行動が「多めに歯を削る」です。どこまで感染が進んでいるのか見分けられないのであれば、大きく削るという安全策を講じていたのです。
もちろん、それによって感染歯質の取り残しを防止しやすくなるのであれば、患者さんにとってもメリットとなりますが、かけがえのない歯質を多めに失うという損失も大きくなります。
そこで有用なのがマイクロスコープです。治療中の視野を肉眼の20倍程度まで拡大できるマイクロスコープを活用すれば、歯をほぼ削らない歯科治療も可能となります。ちなみに、当院では、4Kの高画質を搭載した先進のマイクロスコープ(ネクストビジョン)を導入しており、最大80倍程度まで視野を拡大することが可能です。
MI(Minimal Intervention)とは、国際歯科連盟(FDI)が提唱した「最小限の侵襲」を意味する歯科治療の考え方です。つまり、天然の歯質はかけがえのないものなので、歯を削らない歯科治療を目指しましょうというスローガンを掲げるとともに、具体的な処置の方法などを提案しています。この考え方の普及によって、歯を削らない歯医者が増えてきたことは間違いありません。
歯を削らない歯医者は、進歩した医療技術を導入し、自身の歯科治療を時代の変化に合わせてアップデートさせているという特徴があります。当然、MIの重要性も理解し、その方法を臨床の現場で実践しています。
こうした取り組みには多額の費用と時間、労力がかかりますが、患者さんの大切な歯質を少しでも残したい、患者さんのお口の健康を維持・増進したいという志があれば、相応の負担と受け止められるものです。これが歯を削らない治療を実現できる歯医者の特徴です。
歯をすぐ削る歯医者は、残念ながら患者さん本位の歯科治療を行っていないといえます。なぜなら現状では、歯を削らない治療を実現できる方法が存在しているからです。例えば、肉眼だけで歯科診療を行っている歯医者は、これまで積み上げてきた経験をもとに、歯を削るか否か、あるいは歯を削る範囲を決めることが多いです。同時に、歯を削ることがある意味で最も楽な治療であり、先進の医療機器や治療技術を必要ともしないため、初めから切削することを選ぶ歯医者も多いでしょう。
残念ながらこうした診療姿勢は、歯医者にとって短期的なメリットが大きいかもしれませんが、患者さんの歯やお口の健康を長期的に見た場合は、取り返しのつかないデメリットを与えてしまう可能性が高いのです。
歯を削らない歯医者は、次に挙げるメリットを患者さんに享受していただくことを望んでいます。
現状、天然の歯質に優る歯科材料は開発されていません。削った歯質を元の状態に戻せる方法は存在していないのです。
そのため歯を削らないことは、患者さんのかけがえのない歯質を残すと同時に、最善の状態を保存できることにもつながります。
虫歯や外傷の状態によっては、歯を削ることで神経が露出する場合があります。そうなると歯の神経を抜いて、根管治療を行わなければならなくなるため、患者さんにとって極めて大きな損失となるでしょう。
歯を削らない治療を実現できれば、そのリスクも回避可能となります。
歯科治療に伴う痛みは、先進の麻酔機器を使用したり、歯を削り処置に工夫を加えたりすることで軽減できますが、不快症状をゼロにすることは難しいです。
とくに歯を削る時の「キーン」という音や歯に伝わる振動が苦手な方は多いことでしょう。歯を削らない治療を行えば、少なくともこうした不快症状は少なくなります。
歯を削らない方法で、前歯の見た目や色を改善したい場合は、「ラミネートベニア」という方法が推奨されます。
ラミネートベニアとは?
ラミネートベニアとは、歯の表面にセラミック製のチップを貼り付ける治療法で、歯を削らないのが特徴です。厳密にはエナメル質を一層、削ることもありますが、従来の治療法と比較した場合は、歯を削らない治療と表現しても差し支えないといえます。
ラミネートベニアは、基本的に前歯の審美治療に適応されます。具体的には、以下に挙げる症状に適応できます。
長年放置した前歯の黄ばみや黒ずみ、先天性の歯の変色などは歯科医院でのホワイトニングでも改善できない場合があります。ラミネートベニアは、歯の黄ばみを取り除くのではなく、その上からセラミック製のチップを貼り付ける治療法なので、重度の歯の着色や変色もきれいに改善できます。
上の前歯の真ん中にすき間がある歯並びを「正中離開(せいちゅうりかい)」と呼び、口元の審美性を大きく低下させる要因になりやすいです。この正中離開は本来、歯を動かす歯列矯正やセラミック製の被せ物を装着するセラミック治療でなければ改善が難しいのですが、ラミネートベニアなら歯を削らないで短期的にすき間を塞ぐことができます。
前歯の大きさや形態の異常は、ラミネートベニアで改善しやすい症状のひとつです。歯をほぼ削らないで、理想的な前歯の大きさや形が手に入ります。
前歯の軽度の出っ歯や捻転もラミネートベニアで歯を削らないで治せることが多いです。
ラミネートベニアは、次の手順で治療が進行します。
STEP1
歯の表面を薄く削る(削らないこともあります)
STEP2
型取りをしてセラミック製のチップを作る
STEP3
セラミック製のチップを歯の表面に接着する
STEP4
微調整を加える
ラミネートベニアとセラミック治療の違いは?
歯の形や大きさ、ちょっとした歯並びの乱れを改善する方法としては、セラミック治療という選択肢も用意されています。これはセラミック製の被せ物(クラウン)を装着する治療法で、ラミネートベニアよりも適応範囲が広く、審美性を向上させる効果も高くなっていますが、歯を削らない治療ではないため、すべてのケースに推奨されるわけではありません。どちらも審美性・機能性・耐久性・生体親和性に優れた治療法に変わりはないものの、歯を削らないことを優先する場合は、セラミック治療よりもラミネートベニアが向いているといえます。
失った歯を補うブリッジも歯を削らない方法をご提案できます。
歯を削らないブリッジとは?
歯を削らないブリッジの代表は「接着ブリッジ」です。歯の欠損部の両隣の歯を少しだけ削って支えとし、ブリッジを装着する治療法です。厳密には少量の歯を削る処置が必要となるため、「歯をほぼ削らない」治療法といえるでしょう。当院では、通常のブリッジによる治療でも、歯を削る量を最小限に抑えるよう努めております。
歯を削らない歯医者と歯をすぐに削る歯医者で最も大きな違いが見られるのが虫歯治療です。歯を削らない歯医者の虫歯治療には、次に挙げる特徴があります。
軽度の虫歯への対応
虫歯は、CO~C4の4段階に分けられます。精密な診断および処置を実施できる歯医者は、COとC1で歯を削らない虫歯治療を第一に検討します。COは、歯の表面に白いシミができている状態で、フッ素塗布で歯の再石灰化を促し、ブラッシング指導を行うことでその進行を止められます。また、C1でも虫歯の状態によっては歯をほぼ削らずに、虫歯の進行を止めることが可能です。
治療中の視野を肉眼の数十倍程度まで拡大できるマイクロスコープを活用すれば、歯を削る量を最小限に抑えられます。これはC3やC4といった進行した虫歯においても同様です。
歯を削らない、あるいはほぼ削らないことは、かけがえのない歯質を保存できることに加え、治療時の不快症状の軽減にもつながります。
歯ブラシによるブラッシングやプロフェッショナルによるクリーニングで取り除けない歯の黄ばみ・黒ずみは、歯を削らないホワイトニングで改善できることがあります。
歯を漂白する処置
ホワイトニングとは、過酸化水素や過酸化尿素からなる薬剤を使って、歯を漂白する処置です。漂白作用のある薬剤がエナメル質の内部に浸透して、そこに沈着した汚れを化学的に分解・除去します。ブラッシングやクリーニングとはまったく異なるメカニズムで着色・変色汚れを除去する方法ですが、歯を削らない処置に分類されます。
歯に対してダメージが蓄積することもないため、繰り返し施術することが可能です。当院では、すべての処置が歯科医院で完結する「オフィスホワイトニング」と患者さんがご自宅で施術する「ホームホワイトニング」の2種類に対応しております。
このように、歯を削らない治療は、虫歯治療に限定されていません。歯を削らない歯医者である相武台ゆうデンタルクリニックでは、先進の医療機器と技術を導入することで、ラミネートベニアや接着ブリッジ、歯を削らないホワイトニングなどにも対応することができます。そんな歯を削らない歯科治療を座間市相武台で希望される方は、ぜひ当院までご相談ください。患者さんのかけがえのない歯質を残すために、全力を尽くします。