歯並びの気になる部分だけを治したい。結婚式までに前歯だけでもきれいにしたい。そんな方には部分矯正がおすすめです。部分矯正は、文字通り歯列内の一部分だけを矯正する方法で、全体矯正と比べると治療期間が短く、費用も安いです。
部分矯正が適した歯並び
軽度の出っ歯
上の前歯が前方に傾斜していることで出っ歯になっているケースは、部分矯正で治しやすいです。歯の傾きは比較的短い期間で改善できるからです。
軽度の八重歯
上の犬歯が外側に出ている歯並びを八重歯といいます。軽度の八重歯であれば、犬歯の傾きを調整することで症状の改善が見込めるため、部分矯正でも対応可能なことが多いです。
軽度の乱ぐい歯
デコボコの歯並びである乱ぐい歯も症状が軽ければ部分矯正できます。個々の歯の傾きや捻じれを解消することで、きれいな歯列弓を形成できます。
部分矯正できない症例
部分矯正の適応範囲は、全体矯正ほど広くはありません。それは部分矯正が歯の大きな移動に向いていない治療法だからです。そのため以下に挙げる症例は、部分矯正で治すことが難しいといえます。
【症例1】スペースの不足が大きくて抜歯が必要
スペースの著しい不足によって、出っ歯や八重歯、乱ぐい歯になっている症例では、抜歯が必要となります。一般的には左右の小臼歯を便宜的に抜歯する処置で、歯を大きく移動することになるため、部分矯正で対応することは難しいです。
【症例2】上下の歯列間にすき間がある開咬
開咬(かいこう)は、奥歯で噛んだ時に前歯で噛むことができない不正咬合です。症状が見られるのは前歯部なので、部分矯正で改善できそうに見えますが、実際は奥歯も動かす必要があるため、全体矯正の適応となります。
【症例3】正中の不一致
2本の中切歯の内側を通る線を「正中線(せいちゅうせん)」といいます。これが左右どちらかにズレている症状は、部分矯正で治すのは困難です。すべての歯を動かさなければ正中線は改善できません。
【症例4】骨格的な異常がある
骨格的な異常に由来する出っ歯や受け口などは、部分矯正で治療するのは不可能です。外科矯正と全体矯正を組み合わせることで、症状の改善が見込めます。
部分矯正するメリット
- 【メリット1】
気になる部分だけ矯正できる
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前方に傾いている前歯や外に出ている犬歯など、気になる部分だけを治せるのが部分矯正のメリットです。前歯は最も目立ちやすい部分なので、少し矯正するだけでも大きな効果が得られやすいです。
- 【メリット2】
短期間で矯正治療ができる
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部分矯正は、3~12ヵ月程度で治療が終了します。全体矯正のような数年に及ぶ治療期間は必要ないことから、心身にかかる負担も最小限に抑えられます。
- 【メリット3】
矯正にかかる費用を抑えられる
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部分矯正にかかる費用は、300,000~600,000円程度です。ケースによっては全体矯正の半額以下で治療できることも珍しくありません。
部分矯正はインビザラインがオススメです
部分矯正を行う方法としては、マウスピース型矯正とワイヤー矯正の2つの選択肢が用意されています。相武台ゆうデンタルクリニックでは、快適に部分矯正を行えるマウスピース型矯正「インビザライン」を推奨しております。
インビザラインとは?
インビザラインは、透明な樹脂製のマウスピース(アライナー)を使って歯を動かす矯正システムです。アメリカのアライン・テクノロジー社が開発・提供しているマウスピース型矯正装置で、世界100カ国以上、累計で1,700万人を超える人が利用している実績豊富な治療システムです。
インビザラインによる矯正方法
インビザラインでは、アライナーを1日20~22時間装着し、1~2週間ごとに新しいものへと交換します。食事と歯磨きの際にはアライナーを取り外せるため、日常生活への影響を最小限に抑えられます。装置が目立たず、歯の移動に伴う痛みも少ないことから、矯正治療を快適に進めることができます。
よくある質問
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部分矯正で前歯は何本まで矯正できますか?
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片側の顎で最大6本まで部分矯正できます。前歯部は、中切歯・側切歯・犬歯で構成されており、左右を合わせると6本となります。両側の顎の前歯部だけを最大限、部分矯正する場合は、合計12本を動かします。
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ヒドい出っ歯も部分矯正できますか?
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重症度の高い出っ歯は、全体矯正でなければ治せないことが多いです。具体的には、スペースの不足が著しく、抜歯を余儀なくされるケースや骨格的な異常に由来する出っ歯も部分矯正で改善することは難しいです。ただ、“ヒドい出っ歯”といっても、精密検査をしてみたら、意外に治しやすいこともあるため、まずは矯正歯科でカウンセリングを受けることをおすすめします。
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奥歯を部分矯正するメリットはありますか?
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噛み合わせが改善されて、そしゃく能率が向上します。その結果、食べ物が噛みやすくなるだけでなく、歯にかかる負担も均等に分けられることから、奥歯の寿命を延ばすことにもつながります。もちろん、奥歯を部分矯正することによる審美面の向上も期待できます。
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矯正治療の途中から部分矯正に変更できますか?
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変更することは可能ですが、メリットとデメリットの両方を伴う点に注意が必要です。全体矯正の途中から部分矯正に変更すれば、装置による不快症状が軽減され、治療期間も大幅に短縮されます。その一方で、全体の噛み合わせを改善することが難しくなったり、仕上がりに満足できない可能性が高まったりする点に注意しなければなりません。
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ワイヤー矯正の途中からインビザラインに変更できますか?
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もちろん、可能です。近年は、ワイヤー矯正とインビザラインを組み合わせたコンビネーション治療が増えてきています。ワイヤー矯正で歯を大きく動かしたのち、細かい調整をインビザラインで行います。この方法であれば、マウスピース型矯正単独では治すのが難しい症例も、ワイヤー矯正によるデメリットを最小限に抑えつつ、インビザラインで治療できます。